昼寝の神様/松尾佑一
ぼくは昼寝の神だ。人は昼寝をする時、ぼくをあがめ奉る。「神様、もう少し寝かしてください」と。受験生を、サラリーマンを、有閑マダムを指先一つで眠らせる日々。そんな毎日を変えたのは……
トイレの神様!
トイレにチリ紙はなかったが女神はそこにいた。イケメンだけど怪しいライバルも現れて、彼女の周りは波乱万丈。昼寝以外の能力は通信簿1並みのぼくだけど……
この恋だけは、叶えます!
永遠の愛なんて、信じていなかったのに!!
神様だって不器用な恋をする。
恋と安眠、叶えたい。
読めば明日が楽しくなる、開運!? ラブコメディ
図書館でタイトルと表紙に惹かれて借りてきました。
明らかに去年はやった
トイレの神様が元ネタは話なんですが、それなりに楽しめました。
表紙左側にいる枕を持っている青年が主人公である昼寝の神なんですが、ぶっちゃけせいぜい20代半ばくらいだと思ってました。
実際は30代らしいのですが見えないよ。
そして裏表紙に神主がいるのですが、神主って緋袴履くんですかね?
どうしても巫女さんのイメージが強いのでちょっと違和感が……。
9月から12月くらいまでのわずか数ヶ月の出来事の話です
神無月って聞いたことありますか?10月の古い言い方なんですが、神が出雲に集まって地元にいないから「神無月」。
(だから出雲ではあえて「神有月」というらしいです)
出雲に出かけた昼寝の神が、そこのトイレでであった女神・和式トイレの神に惚れてしまうという話です。
彼女は信仰してくれる人間がほとんどいなくなってしまったがために、消えかけた儚い神で。
セラミックスの神様が彼女に婚姻を迫るわけですが、そうするとトイレの神様も消えなくてすむというメリットもあって……。
なんというか、妙に現代的な神様たちでなんとなくほのぼのというか。
さらりと読むことが出来ました。
神の眷属が柴犬って時点でなんだか脱力してしまいますよね。
時々祝詞だとか、和歌だとかが出てきて「うわー」となりますが、それもそんなに多くないですし。
なんとなくニュアンスだけわかれば十分だと思います。
作中で、美玖ちゃんが思っていたといういじめに対する考えは本当に真理だと思います。
一時期、中高生の自殺騒ぎが続いたことがあったんですが、覚えていますか?
そのころから私が思っていたことと通ずるものがあるなぁ、と。
「いじめをどうやったらなくすことができるか」とか学校でアンケートが配られるわけなんですが、実際問題いじめがなくなるわけないんですよね。
人間って枠からはみ出た人間を犠牲者に据えるから。
これは本当に真理だと思います。そして、すべての人が美玖ちゃんみたく空に放つことができるわけじゃない、と。
比較的ライトな作品なんですが、いくらでも深読みできてしまいそうです。
作品冒頭の「神が八百万を切った」とかもいろいろかんがられるんですよね。
まだ新人さんらしくこの方の作品はそう多くないようなんですが、今度図書館で探してみようかな。
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