果てしなく流れる砂の歌/大森葉音
「われに英雄的な死を与えよ。“双子の塔”の崩壊から始まった愚かな戦争を終わらせるために」
大森望氏推薦!
研ぎ澄まされた多声的(ポリフォニック)な"語り"と圧倒的なスピード感。
ハイ・ファンタジーの分野に颯爽と登場した大型新人を見逃すな。
世界を総べる超大国<象の胃袋>は、同盟諸国を率いて砂漠の小国<朱雀の翼>を占領した。同盟国<銀の狼>のクレーメル少尉は反逆行為を働き死刑を宣告されるが、処刑の直前、と突然頭の中に飛び込んできた<弟>たちの超能力によって救われる。人間が誕生するはるか以前から、<弟>たち<兄弟>は<父>に命じられ、<母>が支配する<姉妹>たちと闘ってきた。クレーメルは<弟>の力を借りて、愚かな戦争を終わらせる“英雄的な死”を目論むが――。
たくらみに満ちた異世界ファンタジー
図書館で借りてきました。作者名は「おおもりはのん」さんと読むそう。
タイトルがなんだか意味深で思わず手にとってしまいました。
読んでみた感想としてはうん?って感じ。
一般向けのハイ・ファンタジーとのことなんですが、あまりそれっぽいイメージはなかったです。
内容的には、延々と戦争してるだけなのであまりファンタジーらしい印象はないってのが正直なところ。
双子の塔って明らかに9.11のあれですし。
ところどころにファンタジー要素はあるんですが、ファンタジーの代名詞・魔法やなんかがあるわけじゃないので……。
<地の塩>の少女・プリームによるクレーメルの部下にして養い子・ムルカの最期は泣き所なんでしょう。
ですが、全く泣けなかったなぁ。
<弟>の存在だけを見ると、ぶっちゃけファンタジーなのかSFなのかよくわかんないって気もします。
神話的な存在とみるとファンタジーっぽいんですが、精神体な高度な存在であり、様々な生物に乗り移って……って設定を見るとちょっとSFっぽくもないですか。
正直、あまり面白いとは言えませんでした。
比較的読みやすいことは読みやすいんですが、なかなか物語に入り込めなくて。
ぶっちゃけ、冒頭3分の1くらいまではもう読むのやめていいかなーとか思いながら読んでました。
タイトルとあらすじの印象から三人称で物語が進むんだと思っていたので、読み始めて一人称だったことに驚きました(笑)
このレベルのファンタジーであれば、児童書やYA向けのファンタジー、あるいは幻想小説とかの方が楽しめたんじゃないかな。
でもまあデビュー作と考えれば、こんなものかな、って気もします。
クレーメルの中から脱出できなくなってしまった<弟>の思考が徐々に変わっていくってのはよかったと思います。
が、<父>と<母>がいさかい続ける限り、戦いはなくならないのでしょう。
<弟>1人の思考が変わったところで焼け石に水なんだろうな、なんて思ってしまいました。
今後に期待ですね。
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