柚木春臣の推理 瞑る花嫁/五代ゆう
ユキ(柚木)、タカシ、徹はアルバイトで山梨の旧家を訪れた。稀代の好事家・河原崎憲明が遺したのは、男女一対の骸骨を王と王女に戴く<驚異の部屋(ヴンダーカンマー)>と身元不明の美少女だった。遺産を巡る争いの中で起こる奇怪な殺人事件。因縁がさらなる因縁を呼び、怨念がさらなる怨念を呼ぶ!
時を越え、死者がチェンバロを奏でるとき、ユキの眸が金茶色に光る!
書き下ろし長編ミステリー
「僕にとってこの世界は完全でなければならない。『謎』の存在など許さない」
猛獣の眸を隠しもつ男、柚木春臣が殺人事件に挑む!
図書館で借りてきました。
この方の作品を読むのははじめてだったので、どんな話を書く方なのかわからなかったのですが、それなりに楽しめました。
物語はあらすじにあるとおり、田舎の資産家宅が舞台です。
そこで起こった事件を主人公達が解いていきます。
読んでいて思ったのは「これってシリーズものなの?」でした。
物語序盤から明かされている徹の身に降りかかった事件やタカシとユキが出会った事件など。
すでに発売されているのかと思ってしまいました。
実際はそういうわけではないようですね。
なんとなく、
建築探偵シリーズの劣化版という印象を受けました。
あちらも登場人物たちが出会い、事件に巻き込まれたことにより今現在の関係を築いたというのは同じなんです。
そしてキャラクターの位置関係も被るんですよ。
ユキ=京介、タカシ=深春、徹=蒼っぽい。
徹が途中でああいう目にあうのも蒼っぽいし、ユキを止める役割をタカシが負っているのもそれっぽいな、と。
建築探偵シリーズは彼らの出会いについてきちんと1冊使って描かれています。
篠田さんの作品(というか建築探偵シリーズ?)はかなり分厚いので本当にきちんと描かれているんですよね。
この作品過去の事件の存在を仄めかすというには主張が強すぎて……。
きちんと語る機会が設けられているのならそれでもいいのかもしれませんが、その変どうなんでしょう?
シリーズ化しそうではありそうですが、そこまで人気が出る気もしないのです。
物語自体はけっこう暗いです。
田舎の閉鎖された村の中のさらに閉鎖された屋敷の中での出来事で。
だからこそ起きた出来事が前提にある事件なので、そういうのも仕方ないのかもしれませんけどね。
続きが出て、図書館で購入すれば借りるかもしれません。
今年の2月に発売された作品なので、続編はまだ先ですね。
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