自鳴琴(オルゴール)/池田美代子
不入斗(イリヤマズ)滉、国府くるみ、風祭都、善行崇也が密に所属する初森中学校非公認サークル・オカルト研究部。
校内で女子生徒失踪事件の話が囁かれはじめる。失踪直前に送られたメールには、校内で噂されている初中怪談を匂わせる内容が書かれていたらしい。
オカ研部員は敢然と事件と怪談の解明に乗り出すが、不入斗は、この怪談にまつわる悩みを一人、抱えていて……。
これもまた図書館で借りてきた作品です。
これは児童書なのかな?それともヤングアダルト?
一般図書の新刊コーナーにあったので区分け的には一般図書になるんだと思うんですが、ぶっちゃけ児童書っていわれたほうが納得します。
可もなく不可もなくといったところです。
「おもしろい!」と絶賛するほどではないけれど、途中で読むのをやめるほどではないというかそんな感じ。
学校の怪談があって、その怪談どおりに少女が消えて失踪したと噂が流れ、オカルト研究部の面々が学校の怪談の謎を追う!って話です。
読んでいて「関係者の家族ばっかり出てくるとかご都合主義すぎないか?」とか思ったのですが、それについてもちゃんと説明がなされていて良かったです。
偶然だとご都合主義でも、意図的だと意味合いが変わってきますからね。
『怪談話』の過去に現実に起きた事件を絡ませて……という設定だけ読むとはやみねかおるさんの『亡霊は夜歩く』を思い出します。
死んで(いなくなって)しまった少女への贖罪。
そういう意味では少し似ているかもしれません。
『亡霊は~』は『亡霊』自らが贖罪しようとするのに対し、こちらはオカルト研究部が調査を進めていくうちに過去の関係者が過去を振り返り、過ちを正そうとするとでもいえばいいのかな?
キーワードだけみればちょっと似てますが、細部はかなり違うので気にならないと思います。
放置されているイリヤの女の子関係が気になりました。
なんかこう書くとイリヤがタラシっぽく思えますね。実際は普通の中学生らしく片思いしているだけなんですけどね。
イリヤが好きなのはくるみ。白石さんのことはキライ。でも白石さんイリヤに行為を寄せているらしい。
さらに白石さんはくるみとイリヤの間に何かあるのではないかと疑っている、と。
この3人の関係がどう動くのかなーとちょっと気にしてたのですが、白石さんの出番がなくなるにつれ普通になかったことというか放置されてしまいました。
私はこの放置は続編を出すための敢えての放置だと思ってます。
イリヤたちが通う初森中学はイリヤたちの学年で63期生という比較的歴史のある学校です。
「11日の金曜日に音楽室からオルゴールの音が聞こえるのを耳にしたら昔自殺した生徒に闇の世界へ引きずり込まれてしまう」
という今回作中で扱われた怪談1つの訳ないと思うんですよ。
今回は紹介されなかったけど、実は複数あるんだよって言われたほうがすっきりします。
個人的にはもうちょっとオカ研メンバーに活躍してもらいたかったです。
夏休み直前の物語のはずなんですが全体的に薄暗い印象なので、夏って感じがあまりしませんでした。
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