クレオパトラの葬送 薬師寺涼子の怪奇事件簿/田中芳樹
香港に向かう豪華客船(クレオパトラ八世号)上でのショーの最中、奇術師がバラバラになって空中から落下。さらに船室では三人の暴力団員の体が引き千切られた。いわくつきの要人警護のため、この巨船に乗り合わせたのは圧倒的な美貌と無謀を誇る警察官僚・薬師寺涼子警視。特別待遇を堪能しつつ、孤絶した現場でますます本領を発揮!?
普通に2段組のノベルスなので、もしかしたら読み終わらないかも……なんて思っていたのですが、なんとか読み終わりました。
けど、けっこうギリギリだったんで平日にノベルス読むのはちょっと無謀でしたね。
今回の舞台は海上です。
あらすじにもあるとおり、薬師寺涼子とそのお供たちが香港に向かう豪華客船に乗り込み、悪をばったばったとなぎ倒すというか。そんな感じ。
今回の敵というか悪人は「ラ・パルマ共和国」なる南米の国の元大統領。
なので、今回登場する化け物も南米原産みたいです。
『生きた水銀(ラ・ペノラロスタ)』。
その名の通り、銀色で不定形。パッと見は銀色の蛇なんですが、主食は血を抜いた肉。
しかも人肉の味を覚えているというのですから、その攻撃力もありけっこう怖い存在です。
新キャラの泉田さんの同僚たちもけっこういい味だしてました。
国を間違えて生まれてきたという香港フリークの呂芳春(ルイ・ファンチュン)こと貝塚さとみと、マリちゃんこと阿倍真理夫。
なかなかキャラが濃い。
この2人がこれから登場することがあるのかは疑問ですが、また出てくれたらいいなぁ。
ペドロ・イワモトみたいな小悪党って嫌いになれません。
でもこの人こそもう登場することなんてないんだろうな。
お涼と泉田さんの関係は特に進展なし。
貝塚さとみの含むような言葉から、泉田さんがめちゃくちゃ鈍い可能性が。
このシリーズ自体が泉田さんの視点で進むからもしかしたらしばらくわからないってこともあるのか……。
まあそれはそれでOKかな。
ちょっと気になったこと。
えっと、お涼が裏金リストを全世界に公表したことに対しての泉田さんの希望について。
「数人しか知らない秘密ならその数人を消してしまえばいいけど、20万人を殺すわけにはいかない」ってやつです。
同作者だからちょっと連想してしまったのですが、
創竜伝だと四人姉妹は五十億人殺す予定だったよな……。
まあ世界観が違うから一緒にしちゃダメなんでしょうけどね。
「神を恐れなくてもいいから、あたしを恐れなさい」っていうお涼のセリフはもうすごいとしかいいようがないですね。
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