金物屋夜見坂少年の怪しい副業/紙上ユキ
占い、まじない、憑き物落とし承ります。
夜見坂少年の生業は、鍋や薬缶を売る金物屋だ。去年他界した先代から引き継いだ店である。そして、もうひとつ引き継いだのが「まじない屋」。不本意ながら、こちらの方が繁盛している。
ある日、賀川(かがわ)男爵毛の家令を名乗る男に屋敷へ連れていかれた夜見坂は、男爵から息子・千尋にかかった呪いを解くよう命じられる。
大学を休み、離れで寝込む千尋に会った夜見坂は…?
すごい久しぶりに本屋で購入した完全初見本です。
2巻が新刊コーナーに並んでいて気になったので1巻を買ってきてしまいました。
【人形】
【迷信】
【開かずの間】
の3編が収録されています。
作中では明正時代とされていますが、時代背景は明治大正あたりっぽい感じ。
いい感じに科学と妖やら迷信やらの両方が信じられている時代が舞台です。
夜見坂少年こと夜見坂平(はかる)が、先代から受け継いだ店で依頼を受ける話です。
ミステリーともオカルトとも言いがたい微妙な感じです。
よくも悪くも最近流行のキャラクター小説寄りのライトミステリーと言った感じでしょうか。
個人的には嫌いじゃありません。
ここ最近のはやりとはいえ、妖怪や神様ネタが食傷気味だって人にも楽しんでもらえるんじゃないかな、と思います。
ただ、あまりまじない的なことをしている印象がないので、そういうのを期待されていると拍子抜けされるやも。
個人的には、ちょこちょこ姿が見え隠れする先代が気になります。
故人なのに、こんなに登場していいのかってぐらい出てますし(笑)
夜見坂少年の年齢不詳感とか、依頼への対応なんかを見ていて、なんとなく薬屋シリーズの秋を思い出しました。
なので、夜見坂少年は実は見た目とそぐわない年齢をしていても驚かないです。ええ。
1、2話と千尋さんが登場したのでこれからも千尋さんはガッツリ巻き込まれていくんだろうなぁと思ったら早速3話で彼が登場しなくてびっくり。
千尋さんって巻き込まれ型の語り部っぽいんですけど、そういうわけでもないよう。メインはあくまで夜見坂少年だってことなんでしょうね。
というかですね。
この小説の何がすごいかって作者さんのデビュー作であるってこと。
2014年のノベル大賞佳作受賞してる方とのことなので、そこから順当にレベルアップされたってことなんでしょう。
というか、ノベル大賞もいつの間にかコバルトとオレンジ文庫で共同になってたんですね。知らなかったです。
編集さんの手が入っているからってこともあるでしょうが、新人さんらしくないきっちりした文章でした。
変に突っかかることもなく読めました。
世界観的にどうよ?ってのもなかったかな。(まあ、世界観としては架空の時代背景ですからごり押しは可能ですけどね)
ただ、作者あとがきがなかったのはちょっと寂しい。
結構読むの好きなんですよ。作者あとがき。
これでデビュー作なら今後に本当に期待です。
実はもう2巻買ってきてあるので近いうちに読んでしまいたいと思います。
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