QED 百人一首の呪/高田崇史
希代の天才・藤原定家が残した百人一首。その一枚を握りしめて、会社社長は惨殺された。残された札はダイイング・メッセージなのか? 関係者のアリバイは証明され、事件は不可能犯罪の様相を呈す。だが、百人一首に封印された華麗なる謎が解けたとき、事件は、戦慄の真相を地上に現す! メフィスト賞受賞作。
図書館で借りてきました。
高田さんは最近だと
アニメ映画化された
鬼神伝の原作を書かれてますね。
この作品は高校生の時に1度読んだことがあるのですが、その時はじめて本を読んでいて眠くなるという体験をした記憶があります(笑)
今回は眠くなりませんでしたよ。
あらすじにあるとおり、殺人事件は起こります。
しかし、それは過去(といっても10ヶ月前)に起こったものであり、暗礁に乗り上げかけているものであまり緊迫感はありません。
会社社長惨殺事件よりも百人一首に秘められた謎を解くことが主題といってもかまわないと思います。
探偵役は薬剤師で天才であり奇人であるタタリこと桑原崇。
助手(というにはあまり活躍した印象はありませんが)は同じく薬剤師の棚旗奈々。
事件を持ち込んだのは巨体のジャーナリスト・小松崎良平。その体格から「熊つ崎」と呼ばれていたようです。
タタリがああでもないこうでもないと説明し、謎を解明していくのを2人(主に奈々)は聞いていくことになります。
タイトルでもわかるかと思うのですが、前述の通りこの作品は百人一首に秘められた謎を解き明かします。
が、私は百人一首や歴史に全くといっていいほど詳しくなく。
在原業平、菅原道真、後醍醐天皇、崇徳院くらいならなんとかわかりますが、誰がどの歌を歌ったのかは全くといっていいほどわかりませんし、次から次へと出てくる歌、その歌に対する歴史的背景や、歌人の心情などちょっといっぱいいっぱいでした。
歌と歌の繋がりが示されるのですが、正直難しかったです。
いや、さすがに同じ言葉を使っているとかなら一目瞭然ですからわかりますよ?
でも「桜=花」とか「玉=魂=命」とかタタルの解説を読むとなるほどと思うものの、数多くの首を見ていくうちに何と何が結びついていたのかが脳内でぐちゃぐちゃになってしまって。
私にそういう知識がないこともあって「からくれなゐ=もみぢ葉=紅葉」とか、からくれなゐって何なのー?ってなってました。
繋がり部分を強調していてくれればと思うものの、全部にそれがあると逆にうっとおしいかとも思ってしまいます。
難しいです。
上手いこと次から次へと繋がっていくさまは奈々じゃありませんが面白くなっていたのも事実です。
殺人事件の謎は比較的簡単でした。
けっこうあっさりとしていて、ちょっと拍子抜けしてしまいました。
それにしても部屋の配置はともかく、家の場所に関する謎はもっとはやく気付けても良かったなと思いました。
気付けなかったのがちょっと悔しい。
今回は説明が以上に多く、キャラクター(特に奈々)があまり掘り下げられていなくてちょっと残念。
正直、奈々を登場させなくてもどうにかなったんじゃないかなーと思ってしまいました。
小松崎が聞き手になってもなんら問題ない感じ。
この作品シリーズ化してますし、図書館にもいくつかあったと思うのでこれからに期待したいと思います。
[0回]
COMMENT