14歳のバベル/暖あやこ
バベルの塔は崩落する。
それが合図だ!
担ぎ込まれた病院の診察台。
夢うつつの14歳の脳裏に現れた光景は鮮烈だった。
巨大な樽の林立する地下工場。
指揮を執る少年王の姿――。
同い年という彼は囁くのだった。
間もなく地上は消滅する。代わって自分たちが人類史をやり直すのだ……。
ビール会社のキャンペーンと、黙示録的計画の関わりに気づいた二人の14歳は、秒読みの中で知恵を絞り、そして行動した。
本が好き!さんを通じて作者さんから頂戴しました。
はじめて読む作家さんですね。
物語は、何らかの問題(サイバーテロ?)があって懐古というか科学技術の一部を捨てた近未来が舞台。
そのため、作中で固定電話は登場するものの携帯やメール、インターネットはなくなってしまっています。
イエローフライデーなる7月の第三金曜日のイベント――黄色いものを身に着けたり、飲食したりすると幸せになれるというがあったりと中々に謎な世界観ですね。
主人公は中学生の少年・冬人。
いわゆる保健室登校をしている彼は、精神的なものなのか時たま発作を起こして倒れてしまうのです。
そんな発作の際に夢かうつつかたどり着いた少年王がおさめる不可思議な工場と彼らの計画を知り、それを阻止するために奔走します。
少しずつ謎というか計画が明らかになっていき、それを頓挫させるために奔走するというのは中々に好みな設定です。
腐女子である身としては少年同士のアレコレというのも大好きです。
けれど、なんだか物語に入り込めないまま終わってしまいました。
8年前の事件もそのうち語られるのかな?と思っていたら、結局きちんと語られないまま物語が終わってしまいました。
もしかしたら、この物語って作者さんが長く温めてきたお話なのかもしれませんね。
なんとなく二次創作読んでる気分とでもいいましょうか。
二次創作ってある程度の設定を読者が知っているため、描写が省略されがちなんですね。
大元となるシュメール人の物語が作者の中にあったがゆえの描写不足なのかも、なんて思ってしまいました。
設定は中々に面白いだけにもったいない気がしてなりませんでした。
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