テディが宝石を見つけるまで/パトリシア・マクラクラン(訳/こだまともこ)
詩人のシルバンさんは言ったんだ。
きみが、宝石をひと粒か、ふた粒、見つけられるといいなって。br ――さて、その宝石とは?
吹雪の中、迷子になり、途方にくれる幼い兄妹。
救いの手をさしのべたのは、1ぴきの詩人の犬だった。
詩人の犬、テディが語る、小さな奇跡の物語。
図書館で借りてきました。
予定外の借り物だったんですが、すごく良かったです。
ひどい吹雪が続く中、そこで迷子になった幼いニッケルことニコラスとフローラの兄妹と詩人の犬・テディのどこか寂しくて悲しくて、でもあたたかい。
そんなお話です。
この本のページをめくると、目次よりも先に作者の言葉が書かれています。
犬は言葉をしゃべります。
でも、詩人と子どもたちにしか聞こえません。
帯にある『詩人の犬』って二通りの意味がとれると思うんです。
『詩人に飼われている犬』という意味と『犬が詩人である』という意味。
この物語に登場するテディは、そのどちらも当てはまっています。
詩人であるシルバンさんと生活を共にし、詩を解し言葉を覚えたテディもまた詩人なのでしょう。
100ページもない短くて薄い本です。
文字もだいぶ大きいので1時間もかからず読めてしまいます。
現在と過去が交差しながら降りしきる雪のように静かに描かれていくのですが、その様が美しくて柔らかくて。
不安や悲しみを覆い尽くしてそして外の雪たちよりも一足早く溶かしてしまったのでしょう。
タイトルでもある宝石は、ギラギラと光るようなものではありません。
ガラス玉のようなほんのりと柔らかな光を放つ宝石なのでしょう。
テディが宝石を見つけたときには思わず涙がこぼれそうになってしまいました。
ここのところ、図書館で借りた本を手元に置いておきたいと思うことは少なくなっていたのですが、今回はついつい値段を確認してしまいました。
ハードカバーだから多少高いけれど、これは手元に置いて何度も読み直したいです。
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