レンタルマギカ 鬼の祭りと魔法使い(下)/三田誠
いつきの奮闘空しく、葛城みかんは姉とともに<人柱>にされた。鬼と同化を始める姉を前にみかんの絶叫が響き渡り、つにに葛城家の「鬼の祭り」が開始される。次々に襲いかかる鬼どもに、ソロモン王(アディリシア)の召喚魔神とケルト魔術(穂波)の決戦魔法が唸りを上げる。大地は割れ、雷があたりを照らす時、真の敵が姿を見せる。いつきたち<アストラル>は「鬼の祭り」とその陰に潜む敵からみかんを救えるのか!? 古今東西の魔法が集合、異種魔法格闘戦!
やっぱり表紙つながりました。
買って何年たつんだか、って感じです。
えと、みかんちゃんのお姉さん・香ちゃんの髪の表現が文章では黒髪、挿絵(アニメ)ではピンク。
違いすぎませんか。あまりにも違うので、読んでいて違和感を覚えてしまいました。
影崎さんが黒羽とアディリシアさんをレンタルするというちょっと無茶な展開になるのですが、これ黒羽だからこそ出来た事なんでしょうね。
いつきでもどうにかなったかなぁ?
とりあえずこの2人くらいしかこういう発想にはならないんでしょうけど。
いろいろあったのですが、香ちゃんと辰巳さんの再会が好きです。
この2人は一生一緒にいて助け合って欲しいです。
辰巳さんですら、みかんちゃんは“香の妹”としての扱いだったらしいので、本当に葛城の家はみかんちゃんにとってはきつかったのだろうな、と思います。
葛城の血脈を繋ぐための歯車であるから、大切にはされる。でもそれだけ。
そんな中で弓鶴さんだけがみかんをみかんとして扱ってくれた。
だから葛城の家にいれた。
でも、弓鶴さんが香ちゃんの守り人になったからみかんちゃんはひとりになって。
……耐え切れなかったのでしょうね。
おばあちゃんの行動がちゃんと孫の幸せを願ってのことだった、ってことにちょっほっとしてしまいました。
わざと酷くあろうとして、誰にも心情を明かさなかったおばあちゃんも辛かったのだろうと思います。
『影』と同化したあとの弓鶴さんの心境がひどく悲しい。
姉妹だけを辛い目にあわせるシステムに納得いかないのはわかります。
このまま祭りを続けていたらみかんは成人を迎える前に死に、香は晩年狂死する。
そりゃ納得できないでしょう。
最後の辰巳さんと弓鶴さんが戦い弓鶴さんが影に消え行こうとしていくところで泣きそうになってしまいました。
何をやってでも守ろうとしたみかんと香は己など求めていなかった。すごく悲しくて、でも成長が嬉しくて。
今もこうやって打っていてちょっと泣きそうです(笑)
今回はアストラルメンバーにはあんまり心動かされませんでした。
いや、すごいことやってるんですよ?
穂波の<生きている杖(リビング・ワンド)>とか。複数の異なる魔術形態を複合させて、竜脈を作るとか。
アディリシアがいつきの指から直接血を飲み込むとか。そういうのもいろいろ。
でも葛城家の面々に関することのほうがインパクト強くて。
どうしてもそっちの方に偏った感想になってしまいました。
そして石動圭。彼の心境はひどく複雑だと思います。彼は自分がどうあがこうともあの戦いに参戦できないことを知っている。でもやっぱり猫屋敷さんが気になって仕方ないんだろうな。
最後、上巻の冒頭でかなわなかった「おかえりなさい」が出来たところでおしまい。
終わり方としてはよかったのじゃないでしょうか。
アディリシアが協会で調べていた<螺旋なる蛇(オピオン)>についての情報提供がなされるかと思ったのですが、あまり触れられませんでしたね。
次巻以降明らかになると思います。楽しみです。
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