桜闇 建築 探偵桜井京介の事件簿/篠田真由美
艶やかに咲く枝垂れ桜の下で、老人が毒を盛られた。容疑者は彼の美し妻、だが物証はない。事件を目撃した桜井恭介は不可能犯罪の謎を解明したはずだったが? 十六歳 の日の忘れえぬ事件を語る表題作を始め、眩暈を誘う「二重螺旋」四部作など、魅力的な十の謎を収録。シリーズ初の短編集、待望の文庫化!
昨日の
学校の怪談があまりにもさらりとしすぎていて物足りなかったので、読み応えのある本を読もうと引っ張り出 しました。
正直、極端すぎたと思ってます(笑)
【ウシュクダラのエンジェル】
【井戸の中の悪魔】
【塔の中の姫君】
【捻れた塔の冒険】
【迷宮に死者は棲む】
【永遠(とわ)を巡る螺旋】
【オフィーリア、翔(と)んだ】
【神代宗の決断と憂鬱】
【君の名は空の色】
【桜闇】
の10編が収録されています。
ちなみにあらすじにある「二重螺旋四部作」は
【井戸の中】【塔の中】【捻じれた塔】【永遠を巡る】の4つのこと。
全てに二重螺旋の通路がある構造のものが登場します。
「長く続いたシリーズはどこから手をつけたらいいのかわからないという方がいる。そういう場合は短編から入るといい。このシリーズもこれをきっかけに読んでほしい」みたいなこと を解説の米原百合さんが書かれているんです。
が、ぶっちゃけこの本に関しては、ここから手を出すのは躊躇われると思います。
いくら短編集でシリーズ入門としての敷居が低いとはいえ、いきなり600ページ超の小説に挑もうとする人は中々いないんじゃないかな?
シリーズの中でも群を抜いて分厚く、その分お値段もお高めで1,000円近いですし。うん。
ついでに、せめて
原罪の庭は読んでおかないと色々まずそうでもあります。
若かりし頃の京介の話だとか、蒼が自身の事件に踏ん切りをつけようとしたり、神代先生にも色々思うところがあったりだとか短編といえども捨て置けない1冊となっています。
この作品は通常のミステリー小説と違う点の一つとして、主人公たちの行動がいつのことか明確にされている点があげられるんですが、今回巻末に作品年表が収録されています。
それと作中のキャラクターたちの心境の変化だとか成長具合なんかを見比べてみるのも面白そうですね。
私がこの本を読むのは、2度目になります。
10年近く前に図書館で借りて読んだっきりだった1冊だったんですが、結構覚えてるもんですね。
(その後、文庫版を買い集め始めたんです)
細部はともかく、だいたいのトリックだとかは覚えてました。
【塔の中の】にて、深春が京介に「だから蒼じゃなくて俺を連れてきたんだろう」みたいなことを言っていた記憶があったんですが今回は見つけられず。
それはただ単に私が読み飛ばしてしまっただけなのか、当時読んだのはノベルス版だったから文庫化に際して削られてしまったのかはちょっと定かじゃありません。
表題作でもある
【桜闇】のラストがものすごく意味深。
過去から解放されて未来へと向かっていく蒼に対して、京介は過去へと戻っていくと書かれています。
それが神代先生が深春や蒼よりは知っているという「隠された部分」ってことになるのかな?
ここから先は完璧に初読になっていくので、これから先どうなっていくのか楽しみです。
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