晴れの日には 藍千堂菓子噺/田牧大和
"菓子莫迦"の兄・晴太郎が恋をした。
しかし、そのお相手は――
「藍千堂」第2弾
おっとりした菓子職人の晴太郎と、商才に長けたしっかり者の幸次郎。
兄弟が営む江戸の菓子司「藍千堂」に今日も難問が降りかかる
練羊羹の腕比べ
焼きたての金鍔
ずんだの餡の柏餅
思いを託した金平糖
桃の節句の子戴き
季節の和菓子が色を添える、江戸人情小説
図書館で借りてきました。
以前紹介した
こちらの続きになります。
この方の作品を紹介するのも3つめなのでカテゴリ作りますね。
【羊羹比べ――人日(じんじつ)】
【母と似た女(ひと)――端午】
【青の星川――七夕(しちせき)】
【思い出話――重陽(ちょうよう)】
【ひいなの祝い――上巳(じょうし)】
の5編が収録されています。
前2作は雑誌掲載されたものですが、それ以外はすべて書き下ろしのものになります。
雑誌掲載されたものでも、2011年と2016年のものなのでずいぶん間が空いていたよう。
今回は晴太郎の恋?の話がほぼメインです。
お相手は幼い女の子・さちを育てる独り身のお佐菜さん。
お佐菜さんもおさっちゃんもいい人ではあるものの二人と関わりを持つことに対していい顔をされませんでした。
それというのも、お佐菜さんの元旦那というのが、情のかけらもないきな臭いことも軽々やりとげてしまう与力・鎧坂だったからです。
鎧坂は、自分の子供も道具としか思っておらずお佐菜さんには娘を生むことを求めていたんです。
けれど鎧坂はお佐菜さんが子ども宿していることをしらず子ができないことを理由に離縁を申し出たんです。
しかしお佐菜さんはこっそりと子供をうみ、鎧坂から隠れてくらしていた、と。
そして、タイミングの悪いことに鎧坂は別件で自分の思い通りになる上菓子司を探していたんです。
どちらにとっても晴太郎とお佐菜さんが親しくしているのは弱みにしかならないわけです。
けれど、晴太郎は引きませんでした。
不義密通なんかしようものなら、殺されても仕方のない時代です。
何か考えがあったとしても、おさっちゃんを自分の子だと告げる晴太郎にはハラハラさせられました。
そっと兄弟を見守っていたという久利庵先生の話にはびっくりしました。
鎧坂を前にしてあの言いくるめっぷりはさすが年の功といったところでしょうか。
伊勢屋の伯父さんといい、茂市っつあんといい兄弟は本当にいい人たちに囲まれていますね。
で、なんやかんや皆がそれぞれ動いていたことが一つになって、鎧坂を退けることができた、と。
鎧坂の顛末は因果応報とでもいいましょうか。
自分がうまく道具として育てあげたと思っていた息子たちに牙をむかれたわけですから救いはありませんね。
物語自体は、2人の縁がうまいことまとまりそうだ、ってところで終了。
次巻はあるのかないのかわかりません。雑誌掲載の感じからすると続きは難しそうですが、続いたらまた図書館で借りてきたいと思います。
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