ぺちゃんこスタンレー/ジェフ・ブラウン(絵/トミー・ウンゲラー 訳/さくまゆみこ)
ジェフ・ブラウンと98年度国際アンデルセン賞受賞画家、トミー・ウンゲラーとのコンビがおくるユーモアあふれる極上の物語!
図書館で借りてきました。
かなりうすい本なのですぐ読めちゃいました。
アメリカのニューヨーク。とあるマンションに住むラムチョップさんの家で、ある晩事故が起こります。
子ども部屋で掲示板として使っていた大きな板が倒れてラムチョップさんの子どもであるスタンレーが下敷きになってしまったのです。
スタンレーの弟のアーサーの声を聞きつけ、子ども部屋に向かった両親が見たのはぺちゃんこになったスタンレーだったのです!
物語はそうしてぺちゃんこになってしまったスタンレーがぺちゃんこゆえに出来ることを行いながら生活していく様が描かれています。
排水溝に落ちたお母さんの指輪を探してみたり、ひもをくくりつけて凧になってみたり、遠く引っ越した友だちの元を訪ねるのに、飛行機ではなく郵便物として運ばれてみたり(笑)
悲観的になってもおかしくない状況ですし、色々と思うところはあるようですが、スタンレーも家族もすごく楽しそうなのです。
アーサーの行動が微笑ましいな、と。
はじめは「兄ちゃんスッゲー!」と単純に喜んでいた彼でしたが、途中で兄と同じようにぺっちゃんこになりたいと望み、本棚の下敷きになろうとしてみたりするのです。
途中で兄ばかり注目されることに嫉妬したりもするのですが、最後の最後で兄が弱音をはくと何とかしよう!と行動するのです。
根はいい子なんでしょうね。
終盤でスタンレーのお母さんのセリフがすごい。
「見た目がちがうから遊ばないなんて、そんなのないでしょう。姿かたちだけじゃないわ。信じてる神様がちがうとか、はだの色がちがうからといって仲間はずれにするなんて、はずかしいことよ!」
それに対し、スタンレーが同意を示しつつも、
「だれもがほかのみんなを好きになるなんて、できないのかもしれないよ」と。
スタンレーのいうことは事実でしょう。幼稚園児ならいざしらずある程度大きくなれば合う合わない、好き嫌いというものはどうしても出てきてしまうものですから。
それでもお母さんはこういうのです。
「もしかしたらね。でも、やってみれば、できるかもしれないじゃない」
そう言えるお母さんが素敵です。
最終的に、スタンレーはアーサーの機転もあり、元の普通の男の子に戻ることが出来ます。
日本では販売されていませんが、スタンレーの物語は「スタンレーと魔法のランプ」「透明人間スタンレー」とまだ続きがあるようです。
この本自体が1998年発売とだいぶ古いこともあり、続編の刊行は難しいかと思いますがいつか続きが読めたらいいですね。
[0回]
COMMENT