機巧館のかぞえ唄 名探偵夢水清志郎事件ノート/はやみねかおる
霧に包まれる機巧館。館に住む老推理作家は密室の書斎から煙のように消えた。机に残された『夢の中の失楽』という題名の推理小説。やがて作中のかぞえ唄の通りに見立て殺人が起きて……。
どこまでが現実でどこまでが夢なのか。名探偵夢水清志郎をして、「謎を解くのが怖い」と言わしめた事件の真相とは!?
夢水シリーズ、というか私の読んだはやみね作品の中で一番わかりにくいかもしれない作品です。
作者もあとがきで述べていますが、これは一読で理解出来ないかも。
かくいう私も一読目ではよく分かりませんでした。
今回は3回目くらい?
さすがにもうわかります。
今巻も3部収録されています。
えっと、第1部と第2部がよく似た展開なのにも関わらず、気づかせないつくりになっているのもいつもどおり。
第1部は百物語の話。
教授、三つ子、レーチ、千秋ちゃん、住職さんの7人で語り合うんですが、ただの怪談ではなく怪談を論理的に説明していくのはさすが。
冒頭、亜衣ちゃんが各人の説明をしていくのですが、レーチの説明にちょっと笑ってしまいました。
レーチは電話が嫌いなわけじゃないんだよ、と教えてあげたくなりました(笑)
第1部の終わりはちょっと怖い。
さて、本編第2部です。
この作品ってあらすじに書いてある見立て殺人だけじゃないんですよ。
作中作の中にさらに作中作まであって、読んでいて混乱してくること必至です。
はじめはいつものごとく亜衣ちゃんが記録している話なのかと思うんです。
けど、それは『夢の中の失楽』という名の作品だった。
『夢の中の失楽』を読んだ亜衣ちゃんたちは捜査に乗り出しますが、それもまた『夢の中の失楽』という作品の一部だった、というもの。
詳しくは実際読んでみてください。
ちょっと気になったこと。
伊藤さんのポチ1号って軽自動車ですよね?
「伊藤さんにおくってもらって」とありますけど、軽自動車に6人(伊藤さん、教授、亜衣、真衣、美衣、レーチ)って無理がありませんか?
まあ、その程度の些事気にしちゃいけませんね。
最後、第3部。
これこそ、はやみねさんらしい作品かといえると思います。
「みんなが幸せになる」という意味ではこれが一番かな。
教授が赤ん坊の世話をするわけですが、赤ん坊が教授のもとにやってきた経緯が問題でして。
教授だからああいう解決の仕方が出来たんだと思います。
巻末に「創人くんが大きくなって名探偵として活躍するのはまた別の物語」とあるんです。
私、この創人くん=都会トムの創也だと勘違いしていたんです。
よく考えてみたら創也は名探偵って訳じゃないので、勘違いするのもおかしな話なんですけど。
はやみねさんって「○人」って名前好きなんですかね。
今回登場した創人くん、都会トムの内人、ご自身のお子さんは琢人&彩人。
多分私が知らない(覚えていない)だけでもうちょっとあるんじゃないかな?とか思ってみたり。
この創人くんの物語まだ出てないのかなーと探してみましたらありました。
学園祭前夜 青春ミステリーアンソロジー/ダ・ヴィンチ編集部編
このアンソロジーに収録されている作品で創人くんが活躍しているらしいです。
知らなかったです。文庫みたいなので今度本屋で探してみたいと思います^^
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