バッテリー/あさのあつこ
「そうだ、本気になれよ。本気で向かってこい。――関係ないこと全部捨てて、おれの球だけを見ろよ」
中学入学を目前に控えた春休み、岡山県境の地方都市、新田に引っ越してきた原田巧。天才ピッチャーとしての才能に絶大な自身を持ち、それゆえ時に冷酷なまでに他者を切り捨てる巧の前に、同級生の永倉豪が現れ、彼とバッテリーを組むことを熱望する。巧に対し、豪はミットを構え本気の野球を申し出るが――。
『これは本当に児童書なのか!?』
ジャンルを超え、大人も子どもも夢中にさせたあの話題作が、ついに待望の文庫化!
あさのあつこさんの代表作であるバッテリーです。
映画、
ドラマ、
漫画と多メディア展開されてる作品なので、ご存知の方もおおいのではないでしょうか。
というか、なんで私今までバッテリー紹介してなかったのでしょう?
主人公・原田巧が新田市に引越しするところから物語は始まります。
新田には母の父――つまり、祖父宅があり、父の転勤を機にそこで暮らすことになります。
小学校を卒業して、中学の入学式を迎える前というすごく微妙な時期の話で、引越し先で出会った子どもたちと過ごしていく話です。
かなり久しぶりに読んだのですが、巧がすごくムカつく子だなぁと思いました。
読むまで巧は「カッコいい」ってイメージが先行していたんです。
ですが、今回改めて読んで巧がすごく自分勝手だなぁ、と。
「巧自身は、他人に試されることなど大きらいだ。しかし、他人を試すことに抵抗はない。」(130ページ)
とか、まさにそうじゃないですか。
巧自身が凛と立つ姿は確かにカッコいいんですよ。
大人に甘えることなく、自分の意思で、力で道を切り開いていく様はカッコいいとしかいえません。
でも、それ以上に自分勝手さが目立つんです。
相対するように描かれる青波や豪が素直でいい子すぎるので余計そう思うのかもしれません。
たぶん、私自身も成長して受け止め方が変わってしまい、ちょっと深いところまで見えるようになったってことだと思います。
はじめてバッテリーを読んだのは中学生くらいのころのことだったので、今と感じ方が違うのも仕方ないことかなぁ、と。
今まで、何でも一人で出来ると思っていた巧にとって、豪と、チームメイトたちと関わっていくことはとてもいいことなのでしょう。
巧には思いもよらなかったような考え方をしてくれる子たちばかりですから。
青波の成長もまたそうでしょう。
今まで、巧の姿に憧れながらもどうすることも出来ずにいた青波がボールに触れ、野球をはじめようとしている……。
すごくいいなぁと思いました。
次巻からは中学に入学して部活でのやりとりが中心になってくるのかな。
シリーズ全巻読んだことあるはずですが、結構忘れてしまっていることが多いのでこれから先の展開が楽しみです。
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