玉依姫/阿部智里
生贄伝説のある龍ヶ沼と、その隣にそびえる荒山。
かつて、祖母が母を連れて飛び出したという山内(さんだい)村を訪ねた高校生の志帆は、村祭りの晩、恐ろしい儀式に巻き込まれる。
人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶体絶命の志帆の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か――
この愛は、時空を超える
大ヒットファンタジーはここから始まった――
ようやく読めました。
図書館で借りてきました八咫烏シリーズ第5弾です。
今回は、いつものシリーズは様子が違っています。
あらすじ読んだだけでわかりますよね。
そう、高校生という現代日本の要素が登場するんです。
まあ、現代日本といっても、1995年ですからちょっと前ですね。
だから、志帆は現代女子高生の必需品であるスマホも携帯も持ってません。
この当時だとポケベルかPHSが一般的な年代なのかな?
(作者の阿部さんは1991年うまれなので、ちょっと変な感じ)
黄金の烏で、ほのめかされていた異世界ファンタジー説が説明されます。
そのため、今作のメインはあくまで志帆(と椿こと山神)で八咫烏たちはほとんど登場しません。
登場するのは、若宮と真赭の薄ぐらい。雪哉好きとしては、ちょっと残念です。
志帆の考えなしな感じが恐ろしいという祖母たちの話はちょっとわかりました。
私、基本的にこういうシリーズものはあらすじを読まずに読み始めます。
読書慣れしてるからってこともありますが、志帆が叔父に誘われ村に行くって時点でだいたい察してしまったので危機意識というかいろいろと欠如しているんだろうな、と。
だからこそ、無償の愛をそそぐことができて、神の母であり妻である玉依姫になることができたのでしょうが……。
戻ってこなかった過去の玉依姫については、まあそうだろうな、と。
逃げ帰ってきたゴクと里帰りしたゴク。村の住人たちに違いなどわかりません。
そうなることをよめなかった山神はやはり人ではなかったのでしょうね。
志帆に指摘されるまで住・食環境が最低だったことを思えば八咫烏も同じだったろうなと思います。
……猿はわかっていたとしても指摘しなかったのでしょうね。
『英雄』こと銀髪の少年の正体は、最後まで誰だかわかりませんでした。
神話の類型として犬を連れた異人が人喰いをする猿(と蛇)を倒すと。
民族学は、こういう小説でかじる程度なので詳しくはないのですが、なるほどなぁ、と思いながらみていました。
(ちなみに私が荒魂やら和魂やらをはじめて知ったのはたぶん犬夜叉の四魂の玉です)
次巻は来年夏刊行予定とのこと。
タイトルについては触れられていません。
猿との最終決戦の幕があがるようで、若宮が真の金烏になれるかどうかって話もあるようです。
で、これクライマックスと銘打たれているんです。
しかしながら、第一部完結編とも書かれてるんですね。
……つまりは、第二部があるということ。
今から楽しみです。
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