その日まで 紅雲町珈琲屋こよみ/吉永奈央
もつれた<情>が引き起こす小さな<事件>。それを解き明かすのは、小粋なおばあちゃん。
コーヒー豆と和食器の店を舞台に、老女が街で起きるもめ事を解決するコージー・ミステリー
小蔵屋を営む老女・お草は、最近くさくさしている。近所に安さと豊富な品揃えが売りの和雑貨店・つづらが開店し、露骨な営業妨害を仕掛けてくるからだ。しかもつづら出店の裏には詐欺まがいの不動産売買の噂があって、草はほうっておけなくなるが……。
図書館で借りてきました。
以前紹介した
紅雲町ものがたりの続編です。
(紅雲町ものがたりは文庫化の際に
萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみと改題されているようです)
【第一話 如月の人形】
【第二話 卯月に飛んで】
【第三話 水無月、揺れる緑の】
【第四話 葉月の雪の下】
【第五話 神無月の声】
【第六話 師走、その日まで】
が収録されています。
まさに連作短編って感じでした。
様々なところでまるで関係ないように語られていたことが伏線だったりしていて。
そういうのは好きなんですが、何もそんな重い話にしなくても……というのが正直な感想です。
前作のときも書いてこそいないのですが、ミステリーというには弱いんじゃないかな?と思っていたんですが、今回もそんな感じ。
コージーミステリー=日常の謎ものだと思っていたのですが、この作品は日常の謎というにはちょっと逸脱しているような気がします。
杉田比呂美さんの描かれる表紙絵がかわいらしい感じなので余計そう感じるのかもしれません。
この表紙と帯のあらすじででイメージするのは、可愛らしいおばあちゃんがお客さんから話を聞いて助言してあげたりするんだろうな、といった安楽椅子探偵ものだと思うんですよ。
けど、お草さんはバリバリの行動派で安楽椅子探偵とは程遠い。
それだけならいいんですが、お草さんが関わる事件にはほのぼのさが全くないんですよ。
むしろドロドロ?それが残念です。
普段可愛いおばあちゃんであるお草さん。
お草さんの今までの人生の中で様々な経験をし、今もそれを抱えているっていうのはわかるんです。
しかしそれを作中でモノローグとして語られているから読んでいてすごく疲れてきてしまうというか。
しかも前巻を読んだときから気になっていたこうもり傘については全く触れられていないんですよね。
それが残念でした。
これもつい先日文庫化したようなのですが、3作目が出たような様子はないよう。
忘れたころに発売されるとかなのかな?
図書館で見かけたら借りてきたいと思います。
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