交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー/深木章子
ねぇ、じいじ、事件のお話して――
かわいい孫のおねだりに、難事件、怪事件を語るのは元刑事・君原の至福の時間。
でも孫の樹来は名探偵だったのです
本格ミステリーのおもちゃ箱!
おもちゃ箱に詰め込まれた傑作トリックと贅沢な趣向の中身は……
図書館から借りてきました。
初めて読む作家さんです。みきあきこさんって読むんですね。
【天空のらせん階段】(密室)
【ざしき童子(ばっこ)は誰?】(幽霊)
【犯人は私だ!】(ダイイングメッセージ)
【交換殺人はいかが?】(交換殺人)
【ふたりはひとり】(双子)
【天使の手毬歌】(童謡殺人)
が収録されています。
微妙に時が流れているので、樹来の紹介が小学生から中学生に変わっていたり、君原の心が変化していたりしますが、基本どここかでも読める連作短編集です。
帯にもある通り、物語は元刑事の君原が作家志望の孫・樹来に過去に関わった事件を語って聞かせるというもの。
そして、樹来はその話から過去、刑事たちが見逃した真実を突き止めてしまう、いわゆる安楽椅子探偵ですね。
ただし、この作品で語られる事件はすべては過去のものです。
現在では、現場の建物が壊されていたり、犯人と目された人物が死んでいたりするので真相は闇の中でしかありません。
なので樹来の推理が正しいかどうかは、確認のしようがないのです。
……そこが救いというかなんというか。
正直、おじいちゃんが孫に過去の話をするのはいいんですが、元刑事というのがちょっとなぁ、と。
小説に厳密なリアルを求めるわけじゃないんですが、過去の事件について実名で、捜査状況についてつぶさに語ってしまっていいのだろうか、なんて考えてしまって。
時効が成立している、犯人が捕まっている、古い話だからと……と色々いいわけは立ちそうなんですが……。
トリックとしてはなるほどなぁと思うものもあるんですが、そこが気になってしまって純粋には楽しめませんでした。
いつか君原さんは、樹来をかすがいに息子夫婦とも仲良くすごせるようになればいいな、とは思いました。
シリーズ化はどうなのかな?
話の内容的にはありなんでしょうが、本格ミステリーの題材をモチーフにして実際にありそうな事件を語るというのがかなり難しそうなので、続編が出たらそれはそれですごいと思いますが。
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