園芸少年/魚住直子
空に凛と芽を伸ばす植物の生長と不器用な少年たちの姿が重なり合う、高1男子・春から秋の物語。
タイトルに惹かれて図書館で借りてきました。
こういう青春物ってたまに読むと好きだなぁ。
高校生男子が、ひょんなことから部員のいなくなった園芸部に入部し、寂れた活動場所に草花を増やしていく話。
はじめ高校生男子が園芸部?と首をかしげてしまったのですが、楽しく読めました。
児童書(YA?)なだけあってかなりさらりと読めます。
文章もとくに癖があるわけじゃないので、すらすら入ってきます。
登場人物は少ないです。
メインとなるのは園芸部の初期メンバーである以下3人。
見た目不良の大和田一平。
ちょっと身長の高い篠崎達也。
段ボール箱をかぶって相談室登校しているBB(ボックスボーイの意)こと庄司くん。
3人が花を育てていく過程で、触れあい成長していくのですが、1番わかりやすいのは庄司くんですね。
箱を被らなければ外出することもままならなかった少年が、箱を被らなくてもよくなるのですから。
箱を被り始めた原因が精神的なものなのですから、きっかけさえあればどうとでもなるんですよね。
はじめは「花なんて水さえやっておけばいいんだろ」と思っていた彼らがきちんと考えて世話するようになるんですからすごいですよね。
でも、これ部費だけ与えて放置した「けどものジーサン」こと顧問の先生にちょっと不信感が……。
もうちょっと見に来いよ、と思ってしまいました。
イメージとしてはおじいちゃん先生な感じなんで、そこまでイラッとはしないんですけど、ちょっと。
まあ、散々放置しておいて
少年少女飛行倶楽部や
ビートキッズのように大事なところで止めに入ってこられるよりはかなりマシですけどね。
実際問題、春先に撒いた種が秋になって生えてくることってあるのかなー、と疑問ではあるのですが、あの演出はうまいなと思いました。
大和田くんの友人たちはかなり最低な感じですが、それに一緒に引きずられることなく、ちゃんと這い上がってこれた彼はすごいなぁと思いました。
それだけ彼が「優しい人」ってことなんだろうな。
ラストの大和田くんの行動には納得するとともに笑ってしまいました。
連絡ぐらいとってやれよ、と。
でもまあ、大和田くんらしいっちゃあらしいですけどね。
おもしろかったです。
最近あたりが多いのでうれしいですね。
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