
放課後にシスター/中島さなえ
「ねえねえ、知ってる?」「30年前に男の人と駆け落ちしたシスターがいたんだって!」
清楚な悪女? それとも妖艶な聖女?
塗りつぶされた顔写真、毒のある花、一本足の男…
ばらまかれたピースを拾い集め、いくつもの顔を持つ女の謎を追いかけた、忘れられない七日間。
幻覚なミッションスクールに代々伝わる「シスター峰駆け落ち事件」。
そのうわさ話はてんでバラバラで、何が真実かまったくわからない。
だが、いつだって女生徒たちの心をつかんで離さなかった。
季節は12月。クリスマスの準備に退屈した仰美たちは、「シスター峰」の正体を自分たちで明かそうと校内を調べはじめる。
やがて、修道院の重く閉ざされた扉の向こうに待ち受けていた真実とは…?
あの冬、シスターが17歳の私を少し大人にしてくれた――
図書館で借りてきました。
目に付いて手にとってみると時期的にちょうどよさそうだったんで借りてきました。
物語は23歳の仰美が過去に友人たちと一緒に「シスター峰」について調べて回ったことを誰かに語っているという体ではじまります。
語り部の大人しい少女・斉木仰美、その親友の一ノ瀬映子、
一つ下の久保桃加、そしてOGの猪野可菜子がメインの登場人物です。
ミッションスクールの女子高生(+OG)ということもあるからか、あるいはただ単純に過去回想という形式だからなのかすごく不思議な雰囲気でした。
彼女たち4人が調べていくことになるのは、30年以上も前に実在したという「シスター峰」。
長い間生徒たちの間を語り継がれてきたためか、その時々でまるで別人のように描かれるシスターの正体に迫ります。
淡々と物語が進んでいくので、読んでいてちょっと辛かったです。
結局、最後までシスター峰のその後は謎なんですよ。
学園での足跡はどうにかこうにか判明するもののそれだけ。
仰美たちは結局、シスター峰の顔すら見てないんですよね。
うーん。なんだか物足りない印象を受けました。
全部が全部明かす必要はなかったけど、もう少しシスター峰の核心に迫るというかそういうのがあっても良かったような。
前述の通りこの作品は仰美が誰かに高校時代にシスター峰について調べたことを語っている話なんですね。
だから、この相手というのはもしかしてシスター峰なんだろうか?とちょっと期待していただけに残念でした。
思春期の少女たちならではの青さ、高校という狭い世界を描いた物語でした。
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