終焉のコドク/百舌巌
某国で致死性ウイルスのパンデミックが起こり、それはやがて引き籠りの青年、栗林友康の住む街にまで広まった。患者は無制限に増え続け、街は支社であふれていく。しかし、悪夢はそれで終わりではなかった。ウイルスで亡くなったはずの遺体が突如動き出し、人間に噛みつき始めたのだ。強靭な力を持ち、無差別に人を襲うゾンビは「不死者」と呼ばれるようになる。街では避難場所や食料の奪い合いが始まり、生き残りをかけたサバイバルへと変容した。友康は隣家に住んでいる中学生の少女、日下部空海とともに、安全は場所を目指して避難することを決める。襲い来る不死者を掃除のラバーカップでなぎ払い、息を殺して路地裏を駆け抜ける。明日の生き延びるために、二人は知恵と工夫と日用品で戦い続けていく――。
本が好き!さんを通じて作者さんから頂戴しました。ありがとうございます。
これ、主婦の友社からの発売なんですが、主婦の友ってこういう本も出しているんですね。
あらすじにある通り、ゾンビもの。
作中では不死者と呼ばれていますが、ある日インフルエンザやエボラ出血熱にも似た奇病が発生し、多くの死者が出てしまいます。
けれど、自体はそれでは終わりません。その死者たちが起き上がり、生者に噛みつきどんどん仲間を増やしていくという世界規模でのパンデミックが起こります。
そうなれば、インフラはめちゃくちゃになり食料をはじめとしたものが不足し、引き籠りの青年・友康も外に出ることを余儀なくされてしまいます。
不死者の群れから隠れつつ、どうにかこうにか生き延びていく様が描かれています。
はじめ、友康は自分さえどうにかなればいいと思っているのですが、途中で隣家の幼なじみの妹である中学生の空海(くみ・作中ではくーかと呼ばれています)と遭遇し、くーかを守るため成長していきます。
読み終わってまずはじめに思ったのは「え、これで終わり?」でした。
なんともまあ、すごく中途半端なところで終わっているのです。
ニュアンスとしては「俺たちの旅はまだまだ続く!」みたいな。ジャンプの打ち切りを想像してもらえれば近いかもしれない。
すごく気になったので、ちょっと調べてみました。
この小説って元々小説家になろう!で投稿されていたものなんですね。
それに大幅な加筆修正を加えて出版されたそう。で、Amazonのレビューを見るとどうやらWeb版とはだいぶ違うものになっているようです。
作者のツイートからして、もしかしてWeb版にはくーかは存在すらしてないのかも?というレベル。
うーんこれはちょっと読んでみたいかも。
他に作中でちょっと気になったこと。
途中で友康の同級生の女性・英子が登場します。
英子はいわゆるヤンママで、ニュースを見ないってのはまだわかるんですよ。
だけど、そういう人ってSNSとかで情報得るんじゃないかな?と。
そういうことをしてる様子がないので、ちょっと調べてみました。
なろうの発表が2014年。
しかしながら総理大臣が大泉だったり(多分小泉総理をイメージ。在任期間は2001~2006年)、粉ミルクに化学薬品が混入されていた事件(2008年)に触れられていたりするので執筆自体は結構昔からしていたのかな?と。
それであればちょっと納得。
中々面白かったです。
ゲームや映画なんかでは、簡単に銃火器が手に入り、主人公たちはそれらを簡単に扱ってゾンビたちをなぎはらっていきます。
でも、実際はそうはいきません。そういうリアルさと不死者の存在という非リアルさがうまく交わった作品だと思います。
あと、タイトルを拝見した時から、「コドク」部分がカタカナなのは「孤独」ではなく「蠱毒」の意味が隠されているからでは?と思っていたのですが、そういうわけでもなさそう。
ちょっと残念。
続編があるのかわかりませんが、とりあえずWeb版読んできます。
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