QED 六歌仙の暗号/高田崇史
「明邦大学・七福神の呪い」――大学関係者を怯えさせる連続怪死事件は、歴史の闇に隠されていた「呪い」を暴こうとする報いか!? ご存じ、桑原崇が膨大な知識を駆使し、誰も辿り着けなかった「七福神」と「六歌仙」の謎を解き明かす。そして浮かび上がった事件の真相とは? 前作「百人一首の呪」に続く驚異のミステリ!
図書館で借りてきました。
あらすじを読んで思わず苦笑してしまったのですが、シリーズ2作目でしかないのにもう“ご存じ”なんですね。
当時それだけ売れたってことなんでしょうか?
今回はあらすじにもある通り、七福神についてでもあり、六歌仙についてでもあります。
この作品を読むのはたぶん3回目くらいだと思うのですが、読んだのがずいぶん前のこともあり、すっかり忘れていました。
ただ、アレルギーのくだりだけはなんでか覚えてましたけど。
作中でタタルさんが飲酒運転をしてるんですが、それに対しての奈々たちの反応がたしなめる程度でちょっとびっくりしてしまいました。
改めて発行年を確かめてみたら、99年。
そのころはまだそんなにうるさくなかったから良かったんだろうな。今ならいろいろとまずそうです。
タタルさんの説明に多くの皇族、貴族、、神などが出てきたためもう読んでいて脳内がごちゃごちゃしてしまいました。
素養となる知識があまりないため、よけいそう感じられたんだと思います。
神話とか神とか嫌いじゃないんですけど、ほとんど知らないので。
こういう話を読む度、日本神話くらいは一度ちゃんと読むべきなんだろうなぁ、と思います。
たぶん、ちゃんと理解してから読めばまた違った印象を受けるんだと思います。
まあ、さすがにイザナギ、イザナミ、ヒルコくらいならなんとなくは知ってましたけど。
事件の顛末はとても悲しいものでした。
そして、最後の最後でああなってしまったため、真実は闇に葬られてしまった訳でもあります。
タタルが語った推理も証拠が乏しい上に証言を得ることができない訳ですからね。
タタルや奈々にとってはそれが真実でいいのでしょうが、警察関係者からしたらたまったもんじゃないんだろうな。
作中で奈々が悟った、
ますますもって『平安』ではない……。
――平安ではないから『平安』と名付けたのだ! そうあって欲しい、という希望を以て。(p225)
ってのには思わず納得してうなってしまいました。
実際のところ、どういう意味があって、そう名付けられたのかはわかりません。
でも、さんざん政治的などろどろ話を聞かされたあとのことだったのでなるほど、と。
基本的に奈々視点の三人称で物語は進んでいくのですが、奈々の驚きっぷりがちょっとうざかったです。
地の文で、
――そう言われれば……。 とか、
――! とか。
数回ならいいんでしょうけど何度も何度も使われるとちょっと。
どうしても、タタルさんの説明を聞く立場から脱却できないので仕方ないんでしょうけど、もう少しどうにかならなかったのかなーと思いました。
前半ではタタルさんですら即答できない疑問を投げかけたりしていたので期待していたのですが、後半はやっぱり聞き手に徹してしまうのが残念でした。
まあ、少しは民族学的な柔らかい考え方ができるようになりつつあるってのも確かなようなので今後に期待したいと思います。
といっても、図書館にあるシリーズは5、6冊しかなかったんで途中までしか読めないとは思いますが。
奈々とタタルさんの関係がこれからどうなっていくのかな、とちょっと気になりました。
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