闇のダイヤモンド/キャロライン・B・クーニー(訳/武富博子)
フィンチ家では、アフリカからの難民家族を一時あずかることになった。
高校生のジャレッドは乗り気になれないが、妹のモプシーは大喜びで迎え入れようとしている。
ところが、やってきた難民たちには恐ろしい秘密があった……。
図書館で借りてきました。
数年前からあることは気づいていたのですが、今回ようやく読めました。
物語の舞台はアメリカ。
教会の活動でアフリカからの難民受け入れ支援をしていたのですが、彼らが入居するはずだったアパートがダメになってしまいフィンチ家にその難民一家――アマポ一家を一時的に居候させることになるのです。
フィンチ家の長男であるジャレッドは年頃の男の子ということもありそれを嫌がるのですが、妹のモプシーが大喜びしていることもあり、どこの家庭でも母の言葉は絶対です。
ジャレッドの意見が通るはずもありませんね。
そうして健康で働くことに意欲的な難民がやってくるはず……だったのですが、実際にやってきたのは両手の先を失った父親・アンドレとそれを支える母親・セレスティーヌ。
祖父母の遺灰を腕にした少年・マトゥと自ら動くことも話すこともしないボロボロで痩せぎすな少女・アレイクと何やら問題がありそうです。
様々な人物の視点で語られる物語ゆえに、読者はその展開にハラハラさせられます。
というのも、メインとなるフィンチ家や学校でのアレコレ以外に挿入される『五人目の難民』の存在がどんどん不安をあおってくるからなのです。
物語序盤から登場する『五人目』・ヴィクターは、アマポ家のもとにどうにかして向かおうとしているのですが、その行動がとてもう暴力的で。
喋らないアレイクの視点でそのヴィクターの所業が語られていくことでさらにその不安が増していくのです。
序盤から違和感のあるアマポ家の秘密、そしてタイトルでもある『闇のダイヤモンド』と合わせていったいどうなってしまうんだ?とハラハラしながら読み進めました。
この物語で一番成長したのは、モプシーでしょう。
年齢のわりに幼いと評されていた少女は、アレイクの世話をやき、彼女のためにと様々なことを考え、彼女を救おうと奮闘します。
最後のちょっと皮肉めいた言葉は、難民一家と触れ合う前であれば彼女の口から出ることはなかったでしょうね。
アメリカというと銃社会のイメージが強かったのですが、地域性の問題なのでしょうか。
フィンチ家では、戸締りもまあ適当で、銃を持っているような描写は一切なし。
讃美歌など宗教的な描写も多く、そういったものに全く触れたことのない身からするとその辺はさっぱりわかりませんでした(笑)
まあ、なんとなくわかれば大丈夫でしょう。多分。
そうこうあって新たなスタートを切る事になったアマポ家。
過去のしがらみをなくした彼らの未来はきっと明るいのでしょうね。
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