レンタルマギカ 魔法使いの妹、再び/三田誠
英国での<螺旋なる蛇(オピオン)>との対決の後、これから始まる大魔術決闘(グランフェーデ)を前に<アストラル>にぽっかりと訪れた休息。そんな時、突然嵐はやって来た! いつきの義妹(いもうと)、勇花が再びやって来たのだ! 久しぶりの再会を喜ぶのも束の間「ひとつ、お願いしたいことがあって来たんです」という彼女の依頼とは!? 一方、<協会>の穂波と猫屋敷、そして<旧アストラル>のメンバーは、来る大魔術決闘び向けて動き出していた――!!
レンタルマギカ、最新刊です。
今回は中短編集なんですが、相変わらず内容が濃いです。
やっぱりこのシリーズの短編は短編だからとあなどってはいけませんね。
『魔法使いの妹、再び』
勇花来襲。
表題作です。
いつきの義妹、勇花が再登場します。
冒頭の「労働基準法とかそういうレベルじゃない」ってのには思わず吹いてしまいました。
やっぱり外部から見たらそう思いますよね。
以前も猫屋敷さん以外は未成年というふざけた状態でしたが、それでもいつきや穂波といった働いていてもおかしくない年齢の職員がいました。
でも、今はみんな幼いからなぁ……。
オルトくんが高校生になったとはいえ、みかんちゃんやラピスはどうあがいても小学生ですからね。
最後の爆弾発言には笑いました。
やっぱり勇花は嵐だな、と思うと同時に実はこの兄妹けっこう似ているのでは?と思いました。
『魔法使いの罰』
魔法使いを罰する魔法使いとして働く穂波と猫屋敷さんの話。
2人の仕事の様子が描かれてます。
というか、穂波がメインで猫屋敷さんについては隠されてますね。
もう出てくることはないだろうと思っていた先代(?)の魔法使いを罰する魔法使い。
過去、荒れていた猫屋敷さんと戦ったあの女性・劉芳蘭(リウファンラン)も再登場します。
この人が出てくるとは微塵も想像してませんでした。
禁呪に関しては、地獄堂の4巻くらいでしたっけ? 「ひとりぼっちの超能力者」に登場してましたね。
協会の代表についてはもっと早くに気づいてもよかったのかなと思いました。
協会と<螺旋なる蛇>の関係性やタブラ・ラサの“白”の強調具合からしても対があるって考えてもおかしくなかったと思うのですが。
気づけませんでした。
だからこそ副代表であるダリウス・レヴィにあれだけの権限があったんですね。
大魔術決闘の協会側のメンバー7人は影崎、穂波、猫屋敷、ダリウス、ギョーム、芳蘭、そしてニグレドってことでしょうか。
『魔法使いの思い出』
隻蓮とオズワルドの出会いを描いた話。
隻蓮さんと至上の四柱を喚起する前のオズワルド、そしてアディリシアさんの母・エレオノーラが登場します。
今まで全く触れられていなかったアディリシアさんの母親です。
なんというか、アディリシアさんとよく似ている印象を受けました。
貴族であり、とても可愛らしい女性でした。
汚泥と化してアディリシアといつきの手で最期を迎えたオズワルド。
彼がなぜ、赤い種を使い魔法となろうとしたか。
その理由が明らかになります。
とても悲しかったです。
本編でも仄めかされている喚起のための代償。
もうこれ代償というより生贄ですよね。
アディリシアさんが至上の四柱を使役するためにはいつきへの恋心を捧げなくてはならないだろうとされています。
確かそれにあがらおうとしていたはず。
今回の話を読むと余計アディリシアさんには頑張ってもらいたいです。
そして、最後の最後で登場した“あの人”。
魔法を使わない魔法使い、妖精博士(フェアリードクター)。
そして伊庭いつきの父親であり、初代アストラル社長・伊庭司がとうとう目覚めました。
口絵を見てまさかと思っていましたが、本当に動き出しました。
あのテンションにはちょっとついていけないんですが、いったいどうなることやら。
正直、猫屋敷さんとの再会が非常に楽しみであったりします。
かなり丸くなった猫屋敷さんですが、きっとからかわれ続けるんだろうなぁ。
今回の業務日誌は初顔ばかりですか?
ラピスがアストラル入りしてから(第3部になってから)初の短編集なんですよね。
うーん、ラピスかわいい。
クロエさんもだいぶ可愛かったですけどね。オルトくんとの再戦なんてやってる余裕ないと思うんだけどなぁ……。
司の日誌は非常に意味深。
いろいろと伏線めいた言葉がちりばめられています。
次巻は夏頃発売だとか。
長編か短編かは謎ですが、非常に楽しみです。
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