都会(まち)のトム&ソーヤ 1/はやみねかおる
クラスメイトの創也の秘密を、偶然知ったぼく、内人。
その日から、塾通いに追われる退屈な生活が、がらりとかわった。
創也といると、冒険がむこうからやってくるんだ。―――――
中学生コンビが活躍するはやみねかおるの新シリーズ。
夢水清志郎シリーズのはやみねさんの作品。
夢水が推理モノなのに対して、こちらは冒険もの。
作品冒頭にもあるとおり都会でも冒頭はできるんだな、と思わせてもらえる作品です。
めちゃくちゃ分厚いです。同レーベルの妖アパやNo.6と比べて1.5倍くらい?
妖アパやNo.6の文庫版の薄さを鑑みるに、文庫になったら普通の厚さになると思うのですが読書慣れしてない人だとYA!ENTERTAINMENT版しかない今はちょっとしり込みしてしまうかもしれませんね。
主人公は内人と創也の中学生2人。
究極のゲームを作りたい創也とそれに付き合う形になった内人。
この2人が究極のゲームを作るために、第五のゲームを作るという「栗井栄太」を探し、いろいろと冒険します。
3つの冒険とそれぞれの幕間とでもいうべきか……が収録されてます。
まずは『ぼくたちの砦』。
内人が砦に向かい、創也に認められる話。
内人の手際のよさは感服です。
内人のサバイバル技術はすさまじいものがありますね。
普通の中学生は火花を散らして明かりを確保するなんてことできませんよ。
というか「平日半額」のハンバーガーとかなつかしかったです。
次に『おうちにつくまでが遠足です』。
遠足という名目で、下水道探検に向かう話。
創也の夢が明かされます。
究極のゲームを作る。それが創也の夢。
でも、創也の家は竜王グループという巨大な企業。しかも一人息子です。
そう自由にさせてもらえない、ってことらしいです。
だから砦にこもり、自分の夢を守っているんです。
とりあえず、現在の創也の目標は第五のゲームを作り上げたらしい栗井栄太なる人物を探し、参考にしないために話を聞きたいとのこと。
創也のまぬけっぷりに思わず笑っちゃいました。
頭もいいし、冷静に見えるから性質悪いですね。
『「視聴率」命!』
テレビ局にいってクロロホルムで眠らされたり、クイズ番組に出たりする話。
創也の片思いの相手が明らかになります。
堀越美春ちゃん。
持ち物検査から漫画を隠してあげたことから恋に落ちるのですが、文庫本サイズならばれないんじゃ?とか思ってしまいました。
内人が別の本のカバーをかけてごまかしてるってことは表紙がそういう漫画っぽかったってことなんだと思うんです。
けど、今ってラノベとかも多いし、児童書や一般書籍でも漫画っぽい表紙の本って山ほどあります。
ついでにいえば、たとえ表紙をごまかしても漫画って小説と違ってページの本当にはしまで描かれているから横からみたらすぐわかると思うんですよね……。
それにぱらぱらとめくられてしまえば一発でアウトです。
これだけ書いててなんですけど、そういうツッコミは無粋なんでしょうね。
でも美春ちゃんの恋のお相手は創也。創也は恋とか愛とかそういうものに自身が関わる気はないとのこと。
この三角関係はきっと誰一人として報われることないんだろうなぁ。
栗井栄太からの「招待状」が届けられたところで次巻へ。
イメージがまったく統一されることのない栗井栄太の正体は次巻で明らかになるのかな?
惜しむべくは目次ページに書かれている注意書き。
内人が危機的状況で行ったことなんですが、実際にやると危ないものあるんです。
で、それに対する注意書きが何故か目次に書かれているんですよね。
「この作品はフィクションです。作中に登場する行為はまねしないでください」くらいならともかく「この作品はフィクションです。作中にある、○○○に○○○を入れて○○させるような行為は大変危険ですので、絶対にまねしないでください」と細かに伏せることもなく書かれてるんです。
この作品って創也がいかにして第六のゲームを作るのかを見届けるのと同時に、内人がどうやって危機的状況を切り抜けるか、って部分も山場になっていると思うんです。
その山場を台無しにするというか……。
それだけがちょっと気になりました。
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