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(腐)的感想文

隠れ腐女子の日常と小説や漫画の感想を書いてきます。

   
カテゴリー「【小説】その他」の記事一覧

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恋する狐

恋する狐/折口真喜子
俳人・与謝蕪村が出会った、愛おしい人々と、いたずら好きの物の怪たち。
デビュー作『踊る猫』で話題の小説宝石新人賞作家が描く、9つの優しい妖異奇譚。
疲れた心にじんわり沁みる、少し不思議で、ひときわ温かな物語。


図書館で借りてきました。
おすすめコーナーにあったんですが、どういう基準で決めてるんだろう?と気になりました。


【蛍舟】
【いたずら青嵐】
【虫鬼灯】
【燕のすみか】
【鈴虫】
【箱の中】
【鵺の居る場所】
【ほろ酔い又平】
【恋する狐】

が収録されています。

以前紹介した踊る猫とよく似た表紙だったので「あれ?」と思ったのですが、やっぱり続編でした。
続編ではありますが、ぶっちゃけどこから読んでも問題ないです。

この作品の共通店は俳人である蕪村が妖怪や何かが関わる話を人から聞いたり、自身で体験する様が描かれているということ。
それだけですね。
私自身は、シリーズものは出来るだけ順番に読みたいので飛ばしたりすることはしませんけど。


妖の存在が当たり前だった時代の話なので、時代物です。
ですが、文体にくせがない上にさらに1話1話が短いということもあり、非常に読みやすかったです。
ページ数も200ページちょっとと少ないですし、2時間くらいで読み終えることが出来ました。


【青嵐】で蕪村が少年に語っていたことが全てかな、と。
今じゃ失われてしまった豊かな感性や心が描かれた作品でした。

このシリーズ続くのかな?
楽しみです。

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博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室

博物館のファントム 箕作博士のミステリ標本室/伊与原新
自然史博物館に棲みついた変人博物学者と片付け魔の新人研究者、でこぼこコンビが事件解決のために動き出す――!
新感覚サイエンスミステリー誕生!!

どんなものも絶対にすててはならない。
――これは博物館の第一原則だ。


図書館で借りてきました。
初めて読む作家さんですね。


【標本No.1 呪いのルビーと鉱物少年】
…宮沢賢治が集めた鉱物標本?そんなもの実在するの?
【標本No.2 ベラドンナの沈黙】
…あいつの毒草円には呪力のありそうな植物がそろってるぜ。
【標本No.3 送りオオカミと剥製師】
…この世にニホンオオカミの剥製が何体あるか、知っているかね?
【標本No.4 マラケシュから来た化石売り】
…デボン紀のモロッコ産三葉虫には、それぐらい偽物が多いんだ。
【標本No.5 死神に愛された甲虫】
…旦那だけが昆虫館でその死神とやらを見たということか?
【標本No.6 異人類たちの子守歌】
…これが密かに日本に持ち出された北京原人の骨だと?

の6編が収録された短編連作集です。
元々は小説すばるに掲載されていたそう。
【…】の後の文言は、帯に記載されているものになります。


ファントムこと箕作と、新人の環のコンビが様々な事件に巻き込まれ、首を突っ込んでいく話になります。
事件といいつつも、殺人とか血生臭い話はないので、さらっと読めますね。
帯を読んだ時点で、新人研究者が振り回されるんだろうなぁと思っていたのですが、途中からはいい意味で裏切られました。
環の成長っぷりが中々に小気味いい感じ。


専門家たちがたくさん登場するので、学名がガンガン出てきてそこはちょっと困りました。
ほとんど知らなかったです。
知っていたのは序盤で出ていたフタバスズキリュウと2話で出てきたロサ・キネンシスくらいでした。
まあ、フタバスズキリュウはドラえもん、ロサ・キネンシスはマリア様がみてるで知っていたんですけど(笑)

この作品のあとがきは、事実と創作をきちんと分けるためとはいえ、多少ネタバレがされていますから、あとがきは最後に読むことをおすすめします。

なんだかいい雰囲気になった2人でしたが、この後も言い合いしながらも仲良くしていくんだろうな。

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はるか遠く、彼方の君へ

はるか遠く、彼方の君へ/安澄加奈
三人の高校生が源平合戦のさなかへ。
彼らが繋ぐ想いとは――
『いまはむかし 竹取異聞』で注目の新人、感動のタイムスリップ青春小説

希望はもたない。生きることに執着のない高校生、夕鷹は、真剣にならなければ生き延びることのできない合戦の世で、何を感じ、どう変わっていくのか。
京都への修学旅行中の高校生・夕鷹は、博物館で古い剣を目にして気を失い、気が付くと炎があがる知らない土地にいた。武士に襲われたところを助けてくれた男は、源九郎義経と名乗る。ほかにも同時にタイムスリップしたらしい2人の高校生、華月、遠矢と出会い、夕鷹たちは「平家物語」の記憶をたどりながら、元の世界に戻るために、神器の剣を探す。焦燥や葛藤、恋と別離。ラストには感動が押し寄せるロングストーリー!


図書館で借りてきました。
作者さんは「あずみかな」さんで読みこそ普通なんですが、私のパソコンでは一発変換出来ませんでした。


あらすじ(帯ですが)にもある通り、現代の高校生たちが今から800年前、源平合戦の只中に迷い込んでしまい未来へ帰ろうと奔走する話。
人生諦めきってる夕鷹(ゆたか)と唯一源平合戦の詳細を知っていた遠矢、紅一点で男勝りの華月。
この3人の高校生が、過去と現在の違いに驚いたり、翻弄されたりしながらも成長していきます。

面白かったです。
序盤はちょっと物語に入りきれなかったんですが、遠矢が登場したあたりから物語に引き込まれ一気に読み進めることが出来ました。
結構分厚い1冊(476ページ)だったんですが、4時間くらいで読み切ることが出来ました。

難をあげるとするならば、視点変換・時間経過がわかりづらいことでしょうか。
ページをめくると前と微妙につながってなかったりするので、飛ばしたかな?と前のページとのつながりを確認することが何度かありました。

私自身は、歴史があまり得意ではないので、源平合戦についての知識は夕鷹以上華月未満といったレベル。
おおまかなあらすじと、神なき国の神々でも結構詳細が語られていたし、授業でもやった気もするし、『扇の的』くらいは知っていました。
けれど、作中で正しい歴史を知っているのは遠矢のみなので、知識がなくても特に問題なく読み進められました。

ぶっちゃけ、夕鷹の置かれた環境は夏目友人帳の夏目を思い出しました。
あるいはみえるひとの明神冬悟でも可。
けど2人には「普通の人には見えないものが見える」という明確な理由がありましたから、夕鷹の方が辛そうではあります。

正直、この1冊で終わってしまうのはおしいな、と思ってしまいました。
もっと心理描写をきちっとして上下巻とかでも良かったと思うんですよ。
華月の兄ちゃんについてとか唐突すぎる感否めませんでしたし。

ラスト、どうにかこうにか現代に戻ってきた3人。
修学旅行の日程ぶっちして義経の最期の地を訪れて希望をつなぐ訳ですが、遠矢の思い人は見つからないまま終わってしまいました。
これ以上は蛇足にしかならないでしょうから、描かれることはないでしょう。

でも、想像の中でくらい幸せになってほしいものです。
(私の中で、遠矢と美弥姫の生まれ変わりは老年になってから再会したらムネアツだな、なんて思ってしまいました)

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