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(腐)的感想文

隠れ腐女子の日常と小説や漫画の感想を書いてきます。

   
カテゴリー「【小説】その他」の記事一覧

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金物屋夜見坂少年の怪しい副業 ―神隠し―

金物屋夜見坂少年の怪しい副業 ―神隠し―/紙上ユキ
何を信じて何を信じないか、それがすべてです。
夜見坂少年が先代から引き継いで営む金物屋では、まじないや憑き物落としの相談も受けている。やけに老成した彼によると、不本意ながら副業である「まじない屋」の方が繁盛しているらしい。男爵家の令息で医学生の千尋は、自身が絡む呪いの一件で彼と知り合い、なんとなく関係が続いている。そんなある日、千尋は夜見坂少年の副業を手伝わされることになり…?


先日読んだこれの続編になります。
まあ、続編といってもこれから読んでもほぼ問題ないです。


【神隠し】
【反魂香】

の2編が収録されています。

まずは【神隠し】から。
こちらはあらすじにもある千尋さんが夜見坂くんをお手伝いする話。
とある高級料理屋である日愛娘の結婚披露宴を開いたところ、愛娘の姿が煙のようにきれいさっぱり消えてしまってすわ神隠しでは、と騒がれていたのを解決に乗り出します。
事件事態はお嬢様の行動力に脱帽。幸せになれるといいね、といったところ。

正直、千尋さんの役割はその見た目だけ(笑)なんですけど、こう振り回される感じ嫌いじゃないです。


次、【反魂香】
反魂香と聞いて真っ先に思い出したのはしゃばけの若旦那。後はそうですね。ちょっと古いけど犬夜叉の桔梗もこれでよみがえってなかったかな?
その名の通り、魂を反転させる香――死人を蘇らせる香です。


少し前に軍勤めの兄・伊吹を亡くした青年・葉月のお話です。
この話はすごく考えさせられるけども、それよりもちょこちょこ見え隠れしてるこの世界における歴史だとかそちらが気になってしょうがなかったです。

開国を迫った外国人が乗っていたのは船ではなく飛行船。
この手の物語に天皇を出すことは難しいのはわかるんですが、王政であったりとなんだか違和感がついて回りました。
うーん、銀魂ほどではないとはいえ一種のとんでも時空なのかもしれませんね。

すべては、夜見坂くんと伊吹青年の手のひらの上だったわけですが、選択肢を与えられた葉月が今後どのような選択をするのか気になりました。
いつかその後の姿が描かれるといいのですが。


まだ5編(うち1編は自身の話だから除外可能)しかないこのシリーズですが、夜見坂くんが千尋さんを関わらせるのって「妖ごと」ではない事件なのかな、と。
読んでいてそんな気がしました。

相変わらず、後書きはなし。
次巻については不明ですが、こまめに新館情報をチェックしようと思います。

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金物屋夜見坂少年の怪しい副業

金物屋夜見坂少年の怪しい副業/紙上ユキ
占い、まじない、憑き物落とし承ります。
夜見坂少年の生業は、鍋や薬缶を売る金物屋だ。去年他界した先代から引き継いだ店である。そして、もうひとつ引き継いだのが「まじない屋」。不本意ながら、こちらの方が繁盛している。
ある日、賀川(かがわ)男爵毛の家令を名乗る男に屋敷へ連れていかれた夜見坂は、男爵から息子・千尋にかかった呪いを解くよう命じられる。
大学を休み、離れで寝込む千尋に会った夜見坂は…?


すごい久しぶりに本屋で購入した完全初見本です。
2巻が新刊コーナーに並んでいて気になったので1巻を買ってきてしまいました。


【人形】
【迷信】
【開かずの間】

の3編が収録されています。
作中では明正時代とされていますが、時代背景は明治大正あたりっぽい感じ。

いい感じに科学と妖やら迷信やらの両方が信じられている時代が舞台です。
夜見坂少年こと夜見坂平(はかる)が、先代から受け継いだ店で依頼を受ける話です。

ミステリーともオカルトとも言いがたい微妙な感じです。
よくも悪くも最近流行のキャラクター小説寄りのライトミステリーと言った感じでしょうか。

個人的には嫌いじゃありません。
ここ最近のはやりとはいえ、妖怪や神様ネタが食傷気味だって人にも楽しんでもらえるんじゃないかな、と思います。

ただ、あまりまじない的なことをしている印象がないので、そういうのを期待されていると拍子抜けされるやも。
個人的には、ちょこちょこ姿が見え隠れする先代が気になります。
故人なのに、こんなに登場していいのかってぐらい出てますし(笑)

夜見坂少年の年齢不詳感とか、依頼への対応なんかを見ていて、なんとなく薬屋シリーズの秋を思い出しました。
なので、夜見坂少年は実は見た目とそぐわない年齢をしていても驚かないです。ええ。

1、2話と千尋さんが登場したのでこれからも千尋さんはガッツリ巻き込まれていくんだろうなぁと思ったら早速3話で彼が登場しなくてびっくり。
千尋さんって巻き込まれ型の語り部っぽいんですけど、そういうわけでもないよう。メインはあくまで夜見坂少年だってことなんでしょうね。

というかですね。
この小説の何がすごいかって作者さんのデビュー作であるってこと。
2014年のノベル大賞佳作受賞してる方とのことなので、そこから順当にレベルアップされたってことなんでしょう。
というか、ノベル大賞もいつの間にかコバルトとオレンジ文庫で共同になってたんですね。知らなかったです。

編集さんの手が入っているからってこともあるでしょうが、新人さんらしくないきっちりした文章でした。
変に突っかかることもなく読めました。
世界観的にどうよ?ってのもなかったかな。(まあ、世界観としては架空の時代背景ですからごり押しは可能ですけどね)

ただ、作者あとがきがなかったのはちょっと寂しい。
結構読むの好きなんですよ。作者あとがき。

これでデビュー作なら今後に本当に期待です。
実はもう2巻買ってきてあるので近いうちに読んでしまいたいと思います。

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伊藤博文邸の怪事件

伊藤博文邸の怪事件/岡田秀文
時は大日本帝国憲法発布前夜――
伊藤博文邸で起きた密室殺人。
史実の幕間に描かれる大犯罪図の共学の真実!!
やはり、このお邸は普通じゃない――
歴史小説の俊英が軽妙に描く新境地!時代の胎動の中、気品漂う本格推理小説。

大日本帝国憲法発布前夜、明治17年(1884年)の高輪、伊藤博文邸。
書生としてその洋館に住み込むことになった杉山潤之助の手記を、偶然古書店で手に入れた小説家の私。
そこには伊藤博文邸で起きた怪事件の様子が、ミステリー小説さながらに描かれていた。密室で行われた殺人、庭園に残った不審な足跡、邸のまわりをかぎまわる怪しい新聞屋、伊藤公の書斎から聞こえる物音、そして第二の死体……
相部屋の書生、月輪龍太郎と推理合戦を繰り返し、伊藤公の娘・生子お嬢様とその教育係・津田うめにふりまわされながら潤之助が見た事件の真相とは――


図書館で借りてきました。はじめて読む方です。
画像はハードカバー版が出なかったので文庫版ですが、手元にあるのはハードカバーです。


あらすじ、というかタイトルでもわかるとおり、伊藤博文邸を舞台にしたミステリーです。
小説家の"私"が、作品の語り手である"小生"が残した手記から小説に起こしているという体をとっています。

私、時代小説はともかく、歴史小説って苦手なんですよ。
でも、明治時代の話だしミステリーだしいけるかな?と思って借りてみたんです。

そう読みにくいわけではありませんでしたが、私の好みではありませんでした。
歴史が苦手な私でも聞いたことのあるような名前が登場し、おっと思う反面、それらは事件とは直接関係してこないので、そこまでガッツリ触れなくても……と思ってしまったんです。

でも、それじゃあ歴史小説にはならないのかもしれませんけど。

後はそうですね。
単純にミステリーとして、探偵役とワトソン役がいて自分たちが巻き込まれた事件を解決へ導いていく……、のかと思いきやそうでもないのも残念。
以前何かでも(多分、火村シリーズ)書いた気がするのですが、私は探偵役が事件を解決するのがみたいのです。
真相を明らかにするための過程で間違った推理が登場するのは、別にかまいません。
でも、そればっかりというのは、正直呼んでいてちょっとなぁと思ってしまうのです。

内容的にはこの1冊で完結していそうな話なんですが、図書館で続編らしき本が並んでいたんですよね。
特段、続きは読みたいとは思えないんですが、この設定でどう続きを書いたのかは気になります。
とても続きが出せるような設定ではないので、気が向いたらチェックしてみようと思います。

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