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(腐)的感想文

隠れ腐女子の日常と小説や漫画の感想を書いてきます。

   
カテゴリー「【小説】その他」の記事一覧

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メゾン刻の湯

メゾン刻の湯/小野美由紀
どうしても就職をする気になれず、内定のないまま大学を卒業したマヒコ。幼馴染の蝶子に誘われ、東京の下町にある築100年の銭湯「刻(とき)の湯」で暮らし始める。
大手の内定を蹴り愛人生活を送るマレーシアと日本のハーフ蝶子、誰にも言えない秘密を持つエンジニアのゴスピ、事故で片足を失った美容師の龍くん、ネットベンチャーに勤めるSNS大好きまっつん、刻の湯の持ち主である老人戸塚さんとその孫リョータ、そして刻の湯を実質的に経営し、いつも中心にいながら謎に包まれた青年アキラさん……
そこには、"社会の正解"からはみ出したくせものばかりがいて――。
"正しく"なくても"ふつう"じゃなくても懸命に僕らは生きていく。


本が好き!さんを通じて出版社さんからいただきました。
ハードカバー本が続いていますが、ハードカバーって高いので申し訳ない気分になります。
ちなみに、私好みの表紙イラストは丸紅茜さんの手によるものです。


物語は東京の下町にある銭湯・刻の湯。
銭湯でありながら、シェアハウスとしても機能しているそこにマコことマヒコをはじめ、帯にあるような個性豊かなメンバーたちが一緒に過ごしていく様が描かれています。

読み始めてしばらくして違和感を覚えました。
章立てされてるようなのに、章のタイトル表記がないんです。
そのため、タイトルのあとにすぐ本編が始まり、目次がない構成。
あまり目次を気にして本を読まない人間ではあるのですが、章がない本ってはじめて読んだ気がします。

期間としてはマコが入居してからわずか1年弱の出来事のようなのですが、内容としてはそこそこ濃いです。
東京の下町、銭湯、落語、人情といったものが描かれる一方で、各種SNS(LINE、インスタグラム、twitter、Facebook)が登場し、YouTubeやクラウドファンディング、LGBTなどの新しいものを多く描かれるそれはすごく不思議。でもそれがうまく調和された世界でした。

面白かったです。
作者がツイッターでNLBLGLTLR18なんでもアリ。と二次創作OKしてたのを読む前に見ていたのでどれだけキャラが魅力的なんだろうかと楽しみにしていたんです。
で、読み終わってなるほど、と。
これは腐女子好きだわ。

個人的にこの作品で二次読むならアキラさん×マコかなぁと思います。
アキマコ♀も可。次点でゴスマコ、蝶マコってところでしょうか。
リョーマコも多分いける。うん。
私の中ではマコは総愛されです。
作者は許可してますが、この作品って女性キャラがほとんど登場しないので、GLは若干難しい気がします。
そして、気になるのは作者がOKしていても出版社的にどうなのかってことと、キャラデザって意味で表紙イラストが基準になると思うので、イラストレーターさん側はどうなのかな、と。
実際に二次描くわけでもないのにちょっと考えてしまいました。

この後の物語が気になりました。
彼が帰ってきたときにどうなるのか、そしてどうなっているのか。
続編が読みたいような、でも蛇足になりそうでちょっと怖いような。
そんな気分です。

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人魚の石

人魚の石/田辺青蛙(せいあ)
人魚の男と私。
おんぼろ寺での奇妙な共同生活は、私を壊す……。
ある日私は誰もいないおんぼろ寺に帰ってきた。
掃除に取り掛かった私が池で見つけたのは、真っ白な事象人魚の男『うお太郎』。
人魚にも見えないが、人間とも思えない不思議な生物だった。
うお太郎は「この寺の周辺には奇妙な石が埋っており、それを私には見つける力がある」と言うが……。


本が好き!さんの献本で頂戴しました。
多分、献本としてははじめてのハードカバー本です。


【幽霊の石】
【記憶の石】
【生魚の石】
【天狗の石】
【目玉の石】
【祖母の石】
【未来の石】
【夢の終わり】
【人魚の石】

が収録された連作短編。
話数分けされてますが、実際は章立てされてると思って問題なしです。

主人公は「あんた」「坊ちゃん」なんて呼ばれる青年・日奧由木尾(ひおくゆきお)。
彼が幼いころに暮らしていた寺に戻ったところから物語はスタートします。

寺の庭にあった池の底から人魚を名乗る男が現れ、奇妙な共同生活がはじまるのです。
人魚に天狗に、様々な力を持つ石。

どこか幻想的で、xxxHOLiC家守綺譚を思いだしました。

石を探す力を持ちながらも、それを拒否する由木尾。
しかしながら、天狗は力ずくで石を探させるし、不幸を運ぶという人魚とともにあることで中々にハードな自体が巻き起こっていくわけですが、それでも人外の存在であるがゆえに彼らの強硬さは気にせず読み進めることが出来ました。

けれど、後半になって明らかになる祖父の秘密。
それはどこまでが本当でどこからが記憶に翻弄されたものだったのか。

中々に好みの物語だっただけに、後半に明かされていく人の業とでもいいましょうか。
そういったものにびっくりしてしまいました。

そしてラスト。
……めちゃくちゃ不穏なんですけど、これいったいどうなってしまうのでしょう。
続編が出たらぜひ読みたいです。

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屍人荘の殺人

屍人荘の殺人/今村昌弘
神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究部の夏合宿に加わるため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とともにペンション紫湛荘を訪ねた 。合宿一日目の夜、映研のメンバーたちと肝試しに出かけるが、"想像しえなかった事態"に遭遇し紫湛荘に立て籠もりを余儀なくされる。
緊張と波乱の一夜が明け――。部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。しかしそれは連続殺人の幕開けに過ぎなかった……!!
究極の絶望の淵で、葉村は、明智は、そして比留子は、生き残り謎を解き明かせるのか!? 奇想と本格ミステリが見事に融合する選考委員大絶賛の第27回鮎川哲也賞受賞作!

たった一時間半で世界は一変した。
全員が死ぬか生きるかの極限状況下で起きる密室殺人。
史上稀に見る激戦の選考を圧倒的評価で制した、衝撃の本格ミステリ!!
鮎川哲也賞受賞作
予測不可能な奇想と破格の謎解きに選考委員、大絶賛!!
本格ミステリをけん引する新たなる旗手、衝撃のデビュー!!


図書館で借りてきました。
実はこの本、発売前のプルーフ版読者モニターに応募したりもしててずっと気になっていたんです。やっと読めて良かった。


ミステリ愛好会のメンバーが目的不明な探偵少女とともに、何か問題があるらしい合宿に参加する所からスタートします。
合宿の舞台は山奥にある大学OBのペンション。
予想以上に大きなペンションを舞台に、参加者たちの様々な思惑を探っていく、というまあある種ミステリの王道といっても過言ではないほどの状況です。

メインとなる登場人物は、語り部でありミステリ愛好会のメンバーである葉村。
ミステリ愛好会の会長であり、《神紅のホームズ》とも呼ばれる明智恭介。
そして実際に様々な事件を解決してるという探偵少女・剣崎比留子。
その他合宿参加メンバーたちが続きます。

作中で嵐が来ようと道は一つじゃないのでいわゆる『嵐の山荘』としてクローズドサークルになることはないと説明されているのです。
それなのにあらすじにある通り、彼らは紫湛荘に立て籠もることになり、意図せずクローズドサークルを作り出すことになるのです。
人には不可能な、けれど人によってなされたことが示唆される不可解な死が起こり彼らは否応なしに犯人探しを行うことになるのです。

……その原因は、実際に読んで確かめてほしいと思います。
ツイッター上で目にしていた「新しい」、「何を語ってもネタバレになる」という声の理由がここにあります。

設定としてとてもおもしろいがゆえに、その反動というわけでもありませんが、これラスト滅茶苦茶になるんじゃ……という懸念があったのです。
ですが、最後まで読み終えると本当にキレイにまとまっているのです。
本当にすごい。

この作品、シリーズ化の可能性はあるのしょうか?
物語のある種、黒幕ともいえる班目機関。
彼らについては謎しか残っていないことを思うと、まだ何かあってもおかしくはないのかも?とも思うのですが、そればっかりはまだまだわかりませんね。

この設定を受け入れられる人であればかなり楽しめるのではないでしょうか。
何はともあれ、かなり久しぶりにミステリを読んだ!という充足感がありました。

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